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吉野家とリンガーハット

ブランディング試論
2007.07.10
顧客からの支持・評価の分布(=ブランド力の形)を利用することで
現実に起こった現象を説明することも可能かもしれません。

ためしにちょっとだけ、やってみましょう。


2007年7月6日の『日本経済新聞』の一面に
「粘り腰の日本経済」という記事が掲載されているのですが
ここに面白い記述があります。
吉野家は牛丼を値上げしても客離れが発生しなかったのに
リンガーハットは値上げで客が少なくなった、というのです。

現在の消費者が価格にシビアなのかどうか、という議論は
さまざまなところで展開されています。
最近よく見られるようになったのは
「消費は二極化している」という議論だと思われます。
そこでは、コモディティ的な商品には価格にシビアな一方で
お気に入りの高級品には惜しみなく金を使う、という
消費者の行動パターンが提示されています。

しかし実際には、消費者は一人ひとり異なりますし、
商品やサービスもそれぞれ異なった特性を持っている。
本来なら消費者と商品・サービスの関係をマトリックスで表現し
これら個々の関係性を何らかの形で総和していかなければ、
現実の姿は見えてこないのではないかと思います。

吉野家とリンガーハットのケースは、
このことを如実に示しているのではないでしょうか。
どちらも低価格路線を歩んできた外食チェーン店で
サービス内容はコモディティ化しており、市場での競争も激しい。
それにも関わらず、吉野家は値上げによって客足が離れず、
リンガーハットは値上げで客が少なくなっているのです。
しかも吉野家の値上げ幅は、280円から380円と、
決して小幅ではなかったことも注目すべきです。

ここでひとつの仮説を立ててみましょう。
吉野家とリンガーハットは、顧客からの支持・評価のパターンが
大きく異なっていた、と考えてみるのです。
さらに、顧客からの支持・評価を定量化する足がかりとして
価格許容度というべき数値を導入してみます。
つまり顧客が「いくらまでならこの商品を買う」のか、
これを支持・評価の数値として利用するというわけです。

私が考えるに、吉野家のパターンは次のようなものではないか。

吉野屋のパターン

そしてこれに対するリンガーハットは、こうなるのではないか。

リンガーハットのパターン

もちろんこれは、ひとつの仮説にすぎません。
グラフの扱い方も、けっこう雑なところがある。
でも実際にこのグラフを見ると、そうなのかもしれないな、と
何となく納得してしまう部分はあると思います。

たとえば吉野家は、かなりディープなユーザーがいる一方で
あまり牛丼を食べない人にとっては、足が向かない店です。
また他にも牛丼チェーンはありますが、
牛丼好きにはけっこうこだわる人が多いようで
「牛丼といえば吉野家」という人がいる一方
他のチェーン店をひいきにしている人もいる。
私の学生時代の後輩が「牛丼なら松屋っすよ」と
力強くいっていたことを思い出します。
とにかく吉野家は、好き嫌いがはっきりする傾向がありそうです。

これに対してリンガーハットは、どうなのかというと、
私自身、あまり興味がないので、正直よくわかりません。
ときどき「リンガーハットでもいいか」と思うこともあるのですが
ひょっとすると、私のような流動的な顧客が多いのかもしれない。
もしそうであれば、ディープなユーザーはそれほど多くない一方で、
間口が広い、という言い方ができるのかもしれません。
もちろん「リンガーハットファン」も少なくはないと思うのですが
全体としては“無党派層の浮動票”的な顧客が多いために、
価格改定の影響が大きく出たのではないでしょうか。

もちろん実際には、話はこんなに単純ではないでしょう。

たとえば『吉野家の経済学』(安部修二・伊藤元重)によれば
2001年に並盛りを400円から280円に値下げしたときに
最初の1ヶ月間は客数が2.2倍になったといいます。
つまり400円なら牛丼屋に足が向かない人も、
280円なら「食べてみよう」と思わせるチカラがあった。
ひょっとしたらこの時点では、顧客の評価・支持の形は
むしろリンガーハットに近いものだったのかも知れない。

あるいは米国産牛肉のBSE問題によって
ある程度の期間にわたって牛丼を提供できなかったことが
顧客の牛丼に対する飢餓感を作り出し、
強力な支持層を作ったのかもしれません。

吉野家とリンガーハットの違いがなぜ生じたのかについて
決定的な答えを導き出すことは簡単ではない。
でも支持・評価のパターンを想像してみるだけでも、
考えるためのひとつの足がかりにはなると思います。

重要なことは、実際には多様な形が存在するものを
すべてまとめて一律のものとして扱うのではなく、
多様性を前提にして議論するという姿勢です。
社会現象や経済現象を説明する時には
往々にして多様性を無視した議論がなされることが少なくない。
私はこのような議論には違和感を感じてしまいますし
多様性を無視したロジックからは、
こぼれ落ちてしまうものも多いと思うのです。

かといって、多様性をまったく手つかずのままに放置しておくと
適切な議論を展開することすら難しくなる。
「人生いろいろよね~」と同じレベルで
「ブランドもいろいろだね~」というだけでは、
ブランドの本質に迫ることはできません。
まあ、事例をたくさん取り上げて解説するだけでも
かなり興味深い話にはなるのですが
実際の企業活動に適用することは難しい。

支持・評価のグラフ化・パターン化は、
ブランドの多様性を無視したり放置するのではなく、
多様性を受け入れた上で議論の俎上にのせるための
ひとつの方法論になりうると思います。

ただ、残念ながらこの方法論だけで、
ブランドの本質に迫ることはできません。
パターン化はブランドのあり方を類型化する手段であり
ブランドの本質はあくまでも、その“向こう側”に存在します。

「ブランドとは何か」を追求しようという研究は
すでに数多くの方によって行われています。
私がここで展開したロジックは、
これらの先人達の取り組みを否定するものではありません。
むしろ、先人達が取り組んできた成果を、
どのように活かしていくのか、という視点から
生まれたものだといってもいい。

ちょっとした視点で整理するだけで
一見すると複雑に見える理論も、
すっきり見えてくることがあります。
理論を実用的に活用するためのコツは
実はこの“ちょっとした視点”ではないかと思います。
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