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医療と価格統制(2)

閑話休題・・・
2008.02.27
前回の続きです。医療における価格統制は、ドクター不足の一因になっているのか、そうではないのか。もう少し考えてみたいと思います。

価格統制とドクター不足をつなげて考えるようになったひとつのきっかけは、前回も触れたように、グリーンスパンの「波乱の時代」の記述です。この中でアメリカ政府が1970年代にガソリン価格を統制した話が出てきます。この政策を実施することでガソリンの供給が絞り込まれ、ガソリンスタンドの前に長蛇の列ができたというのです。グリーンスパンはこの例を挙げて、価格統制という政策は採用すべきではないといいます。

価格統制が供給減につながったケースは、他にもたくさんあるような気がします。例えばソビエト連邦や中華人民共和国などの社会主義国で見られた物資不足は、その典型的な例ではないでしょうか。もちろん社会主義国の場合には、価格だけではなく他にもさまざまな側面が統制されています。それでも価格の統制というのは、やはり大きな力を持っていたと思うのです。

例えば中国の場合は、1980年代から経済改革を行い、市場経済への移行を進めてきました。価格統制は徐々に緩和され、1990年代には消費財のほとんどが市場取引にゆだねられるようになったわけです。その結果、1980年以前には店頭に必要なものがほとんどなかった「不足の経済」の状況から、供給過剰の状況へと変わっていったと指摘されています。

なぜ価格統制が供給減につながるのか。まず米国のガソリン価格統制のケースでは、販売者側の「売り惜しみ」の心理が大きな要因だと思われます。この場合には価格統制が恒常的な政策ではなく「短期的なもの」だと考えられたため、価格統制が撤廃された後に販売を再開した方が儲かる、という判断になったのでしょう。非常にシンプルでわかりやすいケースだと思います。

社会主義国の供給不足はなぜ起こったのか。この場合には今売り惜しんでも、近い将来により高い価格で売れるという見込みは立ちません。この場合は単なる「売り惜しみ」ではなく、供給サイドのモチベーション低下、特に経営者層のモチベーション低下が、大きな要因だと思います。実は長期的な価格統制では、この「モチベーション低下」こそが最大の問題なのだと思うのです。

それでは価格統制は、ドクター不足にも影響を与えているのでしょうか。ここで簡単なモデルを作ってみます。ここで重要なことは、関与しそうなファクターを洗い出し、これらの相互関係を考えることです。これによって問題を整理することで、短絡的な議論を回避したいのです。

まずドクター不足の何が問題なのかを考えましょう。ドクターの数が少ないことは、根本的な問題ではありません。問題はドクター不足に起因する「医療サービスの量」の減少こそが問題なのです。もしドクターの数が少なくても、十分な医療サービスが提供できればいいわけです。

それでは医療サービスの量は、どのように定義できるのでしょうか。おそらく下の式のようになるはずです。

「医療サービスの量」=「ドクター数」×「作業効率」

「質の問題」はちょっと脇に置いておきます。話が複雑になるからです。もちろん医療サービスの質も、重要なポイントであることは間違いないのですが。

ドクター数が増えれば、医療サービスの量は増大します。しかし医療サービスの量を決めるのは、ドクターの数だけではありません。作業効率が高ければ、ドクターひとりあたりで提供できる医療サービスの量が増大し、医療サービス全体の量も増大します。工場のオートメーション化が進めば、工員の数が少なくても大量生産が可能です。また情報機器で事務処理を効率化すれば、事務員の数が少なくなっても対応できます。これと同じことは、医療サービスでも当てはまるはずです。

さて次に、ドクターの数と作業効率が何によって決まるのかを考えてみましょう。

ドクターの数については、次の数式で表せそうです。

「ドクターの数」=「ドクターになった人の数」-「ドクターをやめた人の数」

ドクターの数を増やすには、新たにドクターになる人の数を、ドクターをやめる人の数より多くすればいいわけです。

作業効率はどうでしょうか。これにはいくつかのファクターが絡んでいると考えられます。まずドクターのスキルレベルが関係しますし、ドクターのモチベーションによっても変わるでしょう。またドクターが置かれた環境によっても変わるはずです。これらの相関関係は式にするのが難しそうなので、とりあえず考えられるファクターを並べておくだけにします。

以上を図にすると、次のようになると思います。

図1


新たにドクターになる人の数は、何によって左右されるのでしょうか。業界の魅力の高さ、参入障壁、撤退障壁の3つの要素が関係してくると思います。まず医療業界に魅力が乏しければ、新規参入者は少なくなると思われます。参入障壁が低ければ、新規参入者は多くなるでしょう。撤退障壁は、やめても「つぶしがきくかどうか」がポイントです。強制労働でなければ、それ以外の撤退障壁は考えにくいと思います。もし参入障壁が低く、業界自体に魅力があっても、その後「つぶしがきかない」世界であれば、参入の意欲は低下するはずです。

簡単にまとめると、次のようになります。

参入障壁の高さ  → 新規参入へ「マイナス」に作用
業界の魅力の高さ → 新規参入へ「プラス」に作用
撤退障壁の高さ  → 新規参入へ「マイナス」に作用

ドクターをやめる人の数は、どうでしょうか。これも、業界の魅力、参入障壁、撤退障壁によって左右されると思います。業界の魅力が高ければやめる人は少なくなりますし、撤退障壁が高ければやめるにやめられないということになります。また参入障壁の高さも、撤退のモチベーションを低下させるでしょう。「せっかくドクターになったのに」という心理的なバリヤーが働くからです。

これも簡単にまとめると、次のようになります。

参入障壁の高さ  → 撤退へ「マイナス」に作用
業界の魅力の高さ → 撤退へ「マイナス」に作用
撤退障壁の高さ  → 撤退へ「マイナス」に作用

それではこれら3つのファクターは、最終的にドクターの数にどのような影響を与えるのでしょうか。新規参入に「プラス」で撤退に「マイナス」なら、ドクター数に「プラス」となります。その逆ならドクター数に「マイナス」です。それ以外の組み合わせの場合には、影響は不明になります。まとめると次のようになります。

参入障壁の高さ  → 「マイナス」「マイナス」→ 不明
業界の魅力の高さ → 「プラス」「マイナス」 → プラス
撤退障壁の高さ  → 「マイナス」「マイナス」→ 不明

同じように、作業効率とスキルレベル、モチベーション、環境の関係も考えていきましょう。

スキルレベルが高ければ、作業効率は上がります。これは手際の良さという話だけではなく、判断の素早さ、的確さも関係してきます。いくら手が早くても、判断ミスが多ければやり直しが多くなり、結局は作業効率は下がるからです。まあ医療現場では、単に作業効率が下がるだけではなく、医療事故につながるという大問題もあるわけですが。いずれにしてもスキルレベルは高い方がいい。

スキルレベルの高さ → 作業効率へ「プラス」に作用

モチベーションが高ければ作業効率は上がります。まあ、モチベーションだけが空回りしても仕方ないのですが、一定以上のスキルレベルを持つ人であれば、一般にモチベーションが高い方が生産性は高いはずです。

モチベーションの高さ → 作業効率へ「プラス」に作用

環境はどうか。これは高いとか低いという表現はできませんが、整備された環境の方が作業効率は高くなります。どのような状態を「整備された」というかという問題は残るのですが。とりあえず環境がよければ、作業効率は上がるということにしましょう。

環境の良さ → 作業効率へ「プラス」に作用

話はまだ続きます。スキルレベル、モチベーション、環境の間にも相関関係がありそうです。環境がよければモチベーションは上がると思われますし、モチベーションが上がればスキルレベルも上がる可能性が高くなります。またスキルレベルを上げるには、教育環境が整っていること、その環境を利用しやすいことも重要です。つまり環境も直接影響しそうです。

環境の良さ      → モチベーションへ「プラス」に作用
モチベーションの高さ → スキルレベルへ「プラス」に作用
環境の良さ      → スキルレベルへ「プラス」に作用

それでは業界の魅力は何に影響されるのか。環境はもちろん関係しそうです。それから魅力的な人材が多ければ、人を惹き付ける力が強くなるので、モチベーションの高さも関係するでしょう。

環境の良さ      → 業界の魅力へ「プラス」に作用
モチベーションの高さ → 業界の魅力へ「プラス」に作用

業界の魅力はおそらくもっと複雑で、他のファクターにも関係しそうです。でもとりあえず、ここでまた図にまとめてみます。こんな感じでしょうか。青い線がプラスの作用、赤い線がマイナスの作用を表しています。

図2


かなり単純化しているので、現実と乖離している部分もあると思います。でもこの程度のモデルでも、いくつか見えてくることがあります。

まずひとつは、どのファクター独立変数になりうるのか、逆に他のファクターの影響下にあるのがどのファクターなのかが見えやすくなることです。もちろんこれらのファクターの間には相互作用もあるので、話はそう簡単ではありません。でもある程度は「力の流れ」みたいなものが見えてくるはずです。この図を見ると、ドクターの数でも作業効率でも、環境の善し悪しが独立変数として作用しそうです。

もうひとつは、参入障壁や撤退障壁が、定性的に見るとドクター数に対して「中立な存在」になっているということです。

直感的に考えると、参入障壁はドクター数を減らす方向へ、撤退障壁はドクター数を増やす方向へ作用するような気がします。とすれば「中立的な存在」という評価は違和感がある。この違和感は、先ほど考えた影響の方向があくまでも「定性的な方向性」を示すだけで、定量化されていないのが大きな原因だと思います。つまり参入障壁が新規参入と撤退に与える影響の強さが異なれば、中立ではなくなるわけです。これは撤退障壁でも同様です。

ただし、ひょっとすると「参入障壁はドクター数を減らす」「撤退障壁はドクター数を増やす」といった議論が、間違っている可能性もあります。この点は留意しておくべきではないでしょうか。

さてこうなると、まずフォーカスを当てるべきは「環境をいかにして良くするか」になってきます。今回はちょっとくたびれちゃったので、この続きはまた来週までに考えてみたいと思います。
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